BOXING

【黄金のミドル】石の拳(Hands of Stone)ロベルト・デュラン⑤(Roberto Duran)
ホセ・ピピノ・クエバス戦!1983.01.29

ロベルト・デュラン①

ロベルト・デュラン➁レナード戦Ⅰ

ロベルト・デュラン③レナード戦Ⅱ

④ウイルフレド・ベニテス戦

黄金のミドル(中量級)とは?

1980年代のプロボクシングは、ウエルター級からミドル級の中量級のクラスに華のあるスーパースターが勢ぞろい、
その中心選手たちが1980年代を通し、リーグ戦のように対戦し、それぞれがビッグファイトとして世界中から大注目され大いに盛り上がった時代となっていました。
1970年代の人気の中心は、モハメド・アリのいたヘビー級、
そのアリが70年代後半に王座を陥落した以降、アリの王座を継いだラリー・ホームズに人気が無かったこともあり、時代は一気に「黄金のミドル(中量級)」に移行していきました。

その「黄金のミドル」時代を支えたビッグ4と称されるスーパースターが、
■ロベルト・デュラン
■トーマス・ハーンズ
■シュガー・レイ・レナード
■マービン・ハグラー
の4人です。
この4者4様、素晴らしい特徴を持つ4人が合いまみれ、80年代のプロボクシング界を席巻していきました。

ロベルト・デュラン(Roberto Duran)は1951年6月生まれ、パナマ出身。
1968年に16歳でプロデビュー、1972年WBA世界ライト級タイトルを獲得して以来1978年1月まで12回防衛(11KO)、次々と相手をKOする野性的なパンチは「石の拳(Hands of Stone)」と称され、ライト級では怪物的な強さを発揮、
12回めの防衛戦でWBCタイトルを統一、ライト級最強のまま王座を返上しウエルター級に転向、
黄金のミドルの覇権争いに参入し、ビッグファイトを多数展開、
ライト・ウエルター・ジュニアミドル・ミドルの4階級を制覇、通算戦績119戦103勝(70KO)16敗。

ウイルフレド・ベニテス戦後

ロベルト・デュランは、ベニテスのJ・ミドルへの挑戦で敗戦後、
再起第1戦で判定負け、再起第2戦は勝ちはしたが倒すことが出来ず・・・、
ふがいない試合が続くと周囲からは「引退」が噂されるように・・・。

もう一人引退を囁かれる元王者、ホセ・ピピノ・クエバス、ハーンズにWBAウェルターのタイトルを奪われた後、再起を期していたが、肩の負傷で1年以上リングから遠ざかってしまっていた。

この2人が、ジュニアミドル級チャンピオンのデビー・ムーアへの挑戦権をかけ対戦することが決定。
復活か!引退か!王座返り咲きに向けてお互いに負けられない試合となります。

ホセ・ピピノ・クエバス戦!1983.1.29

デュランとクエバスの対戦は、レナードを破ったライト級最強の「石の拳」とWBAウェルター級をほとんどをKOで11回防衛した「アゴ割りパンチャー」の戦い、2人とも元王者となってしまっているが人気は健在、
翌年に行われるロサンゼルス・オリンピックの会場(ロサンゼルス・アリーナ)に16,000人超の観客を集め開催。
2人とも引退も噂されるパッとしない状態だが、この試合の勝者がジュニアミドル級王者のデビー・ムーアへの挑戦権が獲得できる大事な試合、
デュランは、試合前には「KO勝ち」を宣言、かつてないほどのトレーニングをこなし万全の状態で臨む。


試合は、初回から打撃戦、デュランが突っかけ、クエバスがボディ攻撃、
2回はデュランが主導権を握る。3回は、デュランが優勢、クエバスのパンチは空を切り、右フックでクエバスをグラつかせる。
そして、4回、デュランは開始から攻め続け、1分過ぎにキレイなワンツーでロープ際に詰め石の拳の連打を顔面に集中、クエバスはコーナーポストを背に崩れ落ちダウン、カウント8で再開した後もデュランが連打でメッタ打ち状態、2度目のダウンもカウント9で何とか立ち上がったが、セコンドから試合ストップ、
デュランのKO勝ちが成立し、デビー・ムーアへの挑戦権も獲得。ここまでの戦績は、75勝4敗。

ホセ・ピピノ・クエバス

ホセ・ピピノ・クエバスは、1957年12月メキシコ生まれ、
1976年7月(18歳7か月)、WBA世界ウェルター級タイトルに挑戦し、2回KO勝ちで世界王座を獲得。
その後「あご割りパンチャー」の異名で防衛11回、そのうち10回はKO防衛。
レナードのタイトル初挑戦は、クエバスを恐れ、ベニテスを選んだという話も・・・・。
4年間君臨したWBAウェルター級王座はハーンズに完敗し陥落、
敢えて「たら・・・、れば・・・、」の話しをしますが、
もし、12回目の防衛戦の相手が、ハーンズではなく、レナードだったら・・・・!
黄金のミドルの主人公の一人として、「ビッグ・ファイブ」と呼ばれていたかもしれません。
1976年10月27日には来日、金沢市で辻本章次と対戦し6回KO勝ち(初防衛戦)。

ホセ・ピピノ・クエバス通算戦績:50戦35勝(31KO)15敗
【略歴】
1971年11月、13歳でプロデビュー、2回KO負け。
1975年9月、19戦目でメキシコウェルター級王座を獲得した。
1976年7月、18歳7か月、22戦目でWBA世界ウェルター級王者アンヘル・エスパダに挑戦し、2回KO勝ちで世界タイトル獲得。
※以後、4年間・計11度の防衛。そのうち10度はKO勝ち。
1980年8月、トーマス・ハーンズと対戦、2回KO負けで王座陥落。
1983年1月、ロベルト・デュラン戦、4回TKO負け。
1989年9月、最後の試合を2回KO負けし引退。

デュランのこの後は?

このクエバス戦で勝利したデュランは、
1983.6.16.にWBAジュニアミドル(スーパーウェルター)級王者のデビー・ムーアに挑戦します。

次の投稿で・・・

こちらもどうぞ!
トーマス・ハーンズ編①