BOXING

【黄金のミドル】石の拳(Hands of Stone)ロベルト・デュラン⑨(Roberto Duran)
4階級制覇!!1989.02.24
WBCミドル級タイトルマッチ!アイラン・バークレー戦

ロベルト・デュラン①

ロベルト・デュラン➁レナード戦Ⅰ

ロベルト・デュラン③レナード戦Ⅱ

④ウイルフレド・ベニテス戦

⑤ホセ・ピピノ・クエバス戦

⑥3階級制覇!デビー・ムーア戦

⑦マービン・ハグラー戦

黄金のミドル(中量級)とは?

1980年代のプロボクシングは、ウエルター級からミドル級の中量級のクラスに華のあるスーパースターが勢ぞろい、
その中心選手たちが1980年代を通し、リーグ戦のように対戦し、それぞれがビッグファイトとして世界中から大注目され大いに盛り上がった時代となっていました。
1970年代の人気の中心は、モハメド・アリのいたヘビー級、
そのアリが70年代後半に王座を陥落した以降、アリの王座を継いだラリー・ホームズに人気が無かったこともあり、時代は一気に「黄金のミドル(中量級)」に移行していきました。

その「黄金のミドル」時代を支えたビッグ4と称されるスーパースターが、
■ロベルト・デュラン
■トーマス・ハーンズ
■シュガー・レイ・レナード
■マービン・ハグラー
の4人です。
この4者4様、素晴らしい特徴を持つ4人が合いまみれ、80年代のプロボクシング界を席巻していきました。

ロベルト・デュラン(Roberto Duran)は1951年6月生まれ、パナマ出身。
1968年に16歳でプロデビュー、1972年WBA世界ライト級タイトルを獲得して以来1978年1月まで12回防衛(11KO)、次々と相手をKOする野性的なパンチは「石の拳(Hands of Stone)」と称され、ライト級では怪物的な強さを発揮、
12回めの防衛戦でWBCタイトルを統一、ライト級最強のまま王座を返上しウエルター級に転向、
黄金のミドルの覇権争いに参入し、ビッグファイトを多数展開、
ライト・ウエルター・ジュニアミドル・ミドルの4階級を制覇、通算戦績119戦103勝(70KO)16敗。

トーマス・ヒットマン・ハーンズ戦!1984.06.15!

1983.6.16にデビー・ムーアを倒し世界王者に復帰、さらに、1983.11.10のマービン・ハグラーとのフルラウンドの死闘によってファンからの信頼も取り戻し復活を果たしたロベルト・デュランでしたが、
1984.6.15のトーマス・ハーンズ戦では、わずか2R、一方的な猛攻によりプロ入り後初のTKO負けを喫してしまう。
試合後には完敗を認め、その5日後には故国パナマで引退を表明、33歳。

⑧トーマス・ハーンズ戦

4階級制覇達成!!アイラン・バークレー戦!1989.02.24!

トーマス・ハーンズに2RTKO負けした5日後、引退表明をしたデュランでしたが、
1年半後、1986.01.31に34歳でリングに復帰、
 1986.01、〇2RKO
 1986.04、〇2RKO
 1986.06、●10R判定
 1987.05、〇10R判定
 1987.09、〇10R判定
 1988.02、〇10R判定
 1988.04、〇6R棄権
 1988.10、〇10R判定
8戦7勝(2KO)1敗と「石の拳」の威力は大分失われてしまったが百戦錬磨のテクニックは健在でWBCミドル級のランキングは5位に浮上、そして、

1989年2月24日、37歳のデュランはWBCミドル級タイトルマッチでアイラン・バークレーに挑戦。

アイラン・バークレーは、前年6月にトーマス・ハーンズを3Rで倒し王座を奪取、
デュランが3階級制覇を達成した相手であるデビー・ムーアの親友であり(※ムーアは1988年不慮の交通事故で他界)必勝を期しての初防衛戦。

世界中のファンの37歳のデュランへの期待は大きいものではなかったはず、
しかし、計量の際に見せた見事に鍛え上げられていた体はデュランの王座復帰への決意と闘志を表していた!
大雪の中、アトランティックシティに集まった7,000人超の観客は、デュランを拍手と大歓声で迎え、バークレーにはブーイングを浴びせた。

初回、デュランは軽快に動き打ち合いでバランスを崩すシーンもあったが反撃しロープに詰めポイント先取、
2Rは力強く前に出るバークレー、3Rはバークレーの動きの隙に的確なパンチを放り込むデュラン、
4・5・6Rは若さで優るバークレーがリード、7Rはデュランが連打で取り返す。
6R終了時デュランが戻るコーナーを間違えて心配させたが7R終了時には今度はバークレーがコーナーを間違えるというドタバタも・・・、
8Rにデュランに大ピンチ、バークレーの強烈な左を喰らったデュランの足元がたたらを踏み、好機とみたバークレーが猛攻、デュランは何とか持ちこたえる、
9・10Rはデュランが巧さを発揮、バークレーをロープ際に追い込み的確に攻撃、バークレーのパンチを上半身を揺らし避けるシーンには大歓声も・・・ポイントを取り、試合を互角に戻す。バークレーの左目周辺は大きく腫れふさがってしまう。

11R、観客からデュラン!デュラン!コールも・・・、2分過ぎ、まずは右で動きを止め、左フック、右ストレート、そして強烈な右でダウンを奪う!大きなダメージを負ったバークレーは再度、戻るべきコーナーを見失ってしまうほど。
最終ラウンドも、勝負を賭け前に出て打ってくるバークレーに対し、下がらず打ち返し攻撃で抑え込んだデュランが優勢。最後まで手数を減らさず打ち合った37歳デュランは凄かった。
判定は、

「113-116」「118-112」「116-112」、2-1でデュランが勝利、場内は英雄の復活に湧きかえった!

4階級制覇達成のデュランは、試合後に「私のボクシングはワインのようなもの、古くなるほどいい味を出すのさ!」と語り、世界中のファンに感謝。

デュランのこの後は?

この試合の勝者にはミドル級の統一戦が計画されていたが・・・・・、
デュランのやるべきことはただ一つ、シュガー・レイ・レナードとの再々戦、
この年12月に実現します!

次の投稿で・・・

黄金のミドル・トーマス・ハーンズ編はコチラから!