BOXING

【黄金のミドル】トーマス・ハーンズ④(Thomas Hearns)
J・ミドル級2度目の防衛戦!1984.6.15
石の拳、ロベルト・デュラン戦
WBC世界J・ミドル級

黄金のミドル(中量級)とは?

「黄金のミドル(中量級)」とは、
1980年代のプロボクシング界で最も人気のあったクラス(ウエルター級~ミドル級)で、
★シュガー・レイ・レナード
★トーマス・ハーンズ
★マービン・ハグラー
★ロベルト・デュラン
の「ビッグ4」と称される四者四様、華のあるスーパースター4人を中心にビッグファイトが繰り広げられ、大いに盛り上がった時代を言います。

■トーマス・ハーンズ
階級の中でも高い身長と長いリーチを使ったデトロイトスタイルから繰り出されるフリッカージャブとマシンガンのように繰り出されるラッシュから「ヒットマン(殺し屋)」と称され恐れられ、史上初の4階級制覇、さらに史上初の5階級制覇を成し遂げる。

①WBAウエルター級タイトル獲得(ホセ・ピピノ・クエバス戦)

②ウエルター級王座統一戦(シュガー・レイ・レナード戦)

③2階級制覇!WBCジュニアミドル級タイトル獲得(ウイルフレッド・ベニテス戦)

⑤世界ミドル級挑戦、マービン・ハグラー戦

⑥世紀の再戦!レナード戦Ⅱ

ベニテス戦判定勝ちで2階級制覇達成

ハーンズは、1982年12月、3階級制覇の王者「早熟の天才」ウイルフレッド・ベニテスに15R判定勝ちで WBCジュニアミドル級の王座を奪還し2階級制覇を達成!
ハーンズは試合中盤に右手を負傷、再起戦まで期間が開くことに・・・、しかも、再起戦は初防衛戦になる予定が対戦相手の骨折により急遽対戦相手を変えてミドル級でのノンタイトル戦となる。その試合結果(1983.7.10)は、正確なジャブと軽快なフットワークで一方的な判定勝利。
タイトル初防衛戦は、そこからさらに7か月後の1984年2月11日、ハーンズの地元デトロイトのジョー・ルイス・アリーナに18,000人の観客を集め開催。挑戦者はイタリアのルイジ・ミンキロ、KOには至らなかったが、全ラウンドを確実に掌握したハーンズの楽勝、3-0の12R判定(120-110、118-109、120-109)であった、

そして・・・、次の試合は、WBAの同級チャンピオンのロベルト・デュランとの王座統一戦を予定。

1984年6月15日、ロベルト・デュラン戦!

トーマス・ハーンズのWBCのJ・ミドル級チャンピオンの2度目の防衛戦の相手は、ロベルト・デュラン!
当初は、 WBAのJ・ミドル級チャンピオンとの王座統一戦となる予定であったが、
デュランが試合当日にWBAタイトルを剥奪(WBA1位との指名防衛戦を無視した結果)されたため、WBCの防衛戦としての開催となってしまいました。

会場はラスベガスのシーザース・パレス特設会場、観客は15,000人、2人のファイトマネーはそれぞれに180万ドル!
当時の「黄金のミドル」の注目度・人気の高さがよく伝わります。

33歳、石の拳・ロベルト・デュランは、ライト・ウエルター・Jミドルとすでに3階級を制覇、前年11月には、ミドル級のマーベラス・マービン・ハグラーに挑戦、15Rまでの死闘を演じながら判定で敗戦、
この試合が再起戦となり、「必ずKOで勝利する!」と宣言、
対する27歳、ハーンズは、「2RKO」を予告してリングに登場、

ハーンズはそのファイトスタイルや風貌から「ヒットマン(殺し屋)」と称されていましたが、
実は・・・、その呼び名にはとても抵抗があったようで、クエバスを倒しチャンピオンになった後、自ら「モーターシティ・コブラ」とニックネームを変えイメージチェンジを図っていました。
でも、この試合は相手が相手だけに闘争心をむき出しに「ヒットマン」として「2RKOの死刑宣告」を発したのでした。しびれます・・・

試合は、168cmのデュランに対して、185cmのハーンズが、大きく優るリーチ差を活かし、2分経過後に左ジャブから右を打ち込んでいきなりのダウンを奪います。
ボクシング人生3度目のダウンを喫したデュランへの攻撃を緩めないハーンズは、立ち上がった後も連打を集中し再びダウンを奪ったところで、1R終了。
デュランは、1RKOを何とか逃れたが、帰るべきコーナーを間違えるほどのダメージを負ってしまいます。
第2R、反撃を試みたデュランであったが、ハーンズはすぐに強打からロープに詰めて連打、フィニッシュは、ガードの下がったアゴに快心の右を叩きこむ。
スローモーションの映画のように、ゆっくりと顔面からマットに沈み込み試合終了、2R1分7秒の決着で2度目の防衛に成功、ハーンズの予告通りの2RKOとなりました!

敗戦5日後のデュランは故郷パナマシティで引退を表明、
・・・・1986年1月にはリングに戻って来ます。

ハーンズの次戦は、ミドル級の統一チャンピオン、マーベラス・マービン・ハグラーへの挑戦、
ビッグファイトが続きます。

「石の拳」ロベルト・デュラン(Roberto Duran)

ロベルト・デュラン(Roberto Duran)は、1951年6月パナマ生まれ。
ライト級史上最強のチャンピオン、1971年21歳で獲得したタイトルを12回防衛(うち10KO)、
その野性味あふれる怪物的な強打は「石の拳(こぶし)=Hands of Stone(ハンズ・オブ・ストーン)」と称されています。
ライト級タイトルを返上後にウエルター、J・ミドル、ミドルと4階級を制覇、
黄金のミドルでは、レナードと1勝2敗、ハグラーとハーンズ戦は敗戦、数々のビッグファイトを繰り広げました。
現役最終戦は2001年のヘクター・カマチョ戦、50歳まで戦い続けます。
通算戦績:119戦103勝(70KO)16敗

ハーンズの次のビッグファイトは?

デュランを2Rで倒し、2度目の防衛に成功したトーマス・ハーンズは、
この年9月に3度目の防衛戦に勝利、

次戦は、ミドル級の統一チャンピオン、マーベラス・マービン・ハグラーへの挑戦、
ビッグファイトが続きます。

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