BOXING

【黄金のミドル】ロベルト・デュラン➁(Roberto Duran)
WBC世界ウエルター級タイトル挑戦!
シュガー・レイ・レナード戦 1980.6.20
石の拳(Hands of Stone)

ロベルト・デュラン①

黄金のミドル(中量級)とは?

1980年代のプロボクシングは、ウエルター級からミドル級の中量級のクラスに華のあるスーパースターが勢ぞろい、
その中心選手たちが1980年代を通し、リーグ戦のように対戦し、それぞれがビッグファイトとして世界中から大注目され大いに盛り上がった時代となっていました。
1970年代の人気の中心は、モハメド・アリのいたヘビー級、
そのアリが70年代後半に王座を陥落した以降、アリの王座を継いだラリー・ホームズに人気が無かったこともあり、時代は一気に「黄金のミドル(中量級)」に移行していきました。

その「黄金のミドル」時代を支えたビッグ4と称されるスーパースターが、
■ロベルト・デュラン
■トーマス・ハーンズ
■シュガー・レイ・レナード
■マービン・ハグラー
の4人です。
この4者4様、素晴らしい特徴を持つ4人が合いまみれ、80年代のプロボクシング界を席巻していきました。

ロベルト・デュラン(Roberto Duran)は1951年6月生まれ、パナマ出身。
1968年に16歳でプロデビュー、1972年WBA世界ライト級タイトルを獲得して以来1978年1月まで12回防衛(11KO)、次々と相手をKOする野性的なパンチは「石の拳(Hands of Stone)」と称され、ライト級では怪物的な強さを発揮、
12回めの防衛戦でWBCタイトルを統一、ライト級最強のまま王座を返上しウエルター級に転向、
黄金のミドルの覇権争いに参入し、ビッグファイトを多数展開、
ライト・ウエルター・ジュニアミドル・ミドルの4階級を制覇、通算戦績119戦103勝(70KO)16敗。

トーマス・ハーンズ編①

【黄金のミドル】バトル・ロワイヤル開幕戦!

ライト級での減量苦もあり、最後の防衛戦後にタイトルを返上しウエルター級へ転向、
約2年の時間をかけ、8戦8勝4KOでウエルター級のランキング1位に!
そして、1980年6月20日、シュガー・レイ・レナードが持つWBC世界ウエルター級タイトルへの挑戦が決定。

この試合は、デュランの「黄金のミドル」でのビッグファイト初戦であり、
この後約10年間、ビッグ4が展開する「バトル・ロワイヤル」の開幕戦となる試合です!

WBC世界ウエルター級タイトルマッチ 1980年6月20日

前年11月、ウイルフレッド・ベニテスを15RTKOで破りタイトルを獲得しWBCの世界ウエルター級タイトルを獲得したシュガ・レイ・レナードは、モントリオール五輪の金メダリストであり、明朗快活なキャラクターもありデビュー前から注目の的、プロデビュー戦のファイトマネーが破格の4万ドル、以来ベニテス戦を含み300万ドルを稼ぎ、モハメド・アリ引退後の代役としてアメリカ全土から盛り立てられるスーパースター、
対して、デュランはパナマのスラム街で生まれ育ち、16歳からプロのリングで野性味あふれる怪物球の強打で闘い続けた叩き上げのファイター、
スピードとテクニックで戦うレナードと、石の拳と称される強烈なパンチとインファイトの闘いを駆使するデュラン、この対称的な2人の対戦は、
「ボクサーvsスラッガー」、「闘牛士vs闘牛」、と称されます。

戦前の予想は、王者レナードの有利、賭け率も9対5でレナード。

試合は、
カナダのモントリオール・オリンピックスタジアムに46,000人の観衆を集め、19:30にゴング!

初回からデュランがフェイントをまじえたジャブを放ちながら前進し距離を詰める。
レナードはスピードのある左ジャブを打つがデュランには当たらない。
第2R中盤、デュランの右ストレートから左フックのコンビがレナードのアゴにキレイにヒット!レナードは足をもつれさせながら大きく後退、デュランは攻めるがクリンチで逃げられる。

以降の戦いも2人の接近戦が続きます、戦前の予想では足を使ったアウトボクシングに徹すると思われていたレナードがデュランを中に入れ、ショートレンジでのパンチの応酬。
終盤になっても両者とも疲れを見せずに打ち合うが、試合展開は変わらずの接近戦。
結局最終ラウンドまで1度もダウンシーンも流血も無かったが、ほとんど休みなくパンチを打ち合う良い試合でした。
クリーンヒットが無かったのもお互いのディフェンスの技術が高かったからなのでしょう。

第15Rの終了のゴングの後、両手を挙げポーズをとる両者、
デュランがレナードへ鬼の形相で怒鳴っているシーンが象徴的です、「ふざけるな!勝ったのはオレだ!!」といっているのでしょうか?

ジャッジ3人の判定は、「145-144」、「146-144」、「148-147」、3-0でデュランの勝利、
デュランはライト級に続き、ウエルター級のタイトルを獲得し2階級制覇を達成します。

そして、デュランとレナードは、5か月後に再び戦うことになります。
次回の投稿で・・・